2007年02月05日

『黒いボルサリーノ』 第二話

その男がやってきたのは、それから数時間あとだった。

ドアチャイムの音で起こされて、薄目をひらいて時計をみると6時だった。せっかくの休日ぐらいゆっくりさせてくれと思い、無視することにした。
こんな時間にやってくる奴は、どこかの宗教の勧誘かなんかに違いない。そのうち諦めて帰るだろう。
俺はチハルの顔を思い浮かべながら再び眠りにつこうとした。夢の中で会えるように。

ところが、一向にドアチャイムがなりやまない。出てくるまで帰るつもりはないらしい。しかたない、追い返すまで夢でのデートはおあづけだ。

ガウンを羽織ってドアを開けると、そこに立っているのは、いかにも怪しげな男だった。
黒いコートからのぞくピンクのネクタイ。黒いボルサリーノの下は坊主刈りのように見える。
「何ですか、こんな時間に」思いっきりあくびをしながら俺はそういってやった。
「早くに申し訳ないです。ちょっと散歩でもしませんか」

一体この男は何を言っているのだ。まだ酒の残っている頭が、余計にガンガンしてきた。
「誰ですか、あんた」
「すぐ済みます。協力して欲しいのです」
「名前も名乗らずに・・」
その瞬間、男はコートのポケットから鈍くひかる拳銃を取り出した。
「ちょっと、失礼」
拳銃に眼が釘付けになっている俺の頭に、その男はなにか液体をかけた。生暖かい感触。体が硬直して動かない。
「シャンプーは何をお使いですか」
そういいながら男は、俺の頭にかかった液体(シャンプーなんだろうか)を泡立て始めた。
「こ、これは・・」俺の唇はきっと青ざめていたに違いない

「出来上がりました。さあ、靴を履いて、出かけましょう」


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※この物語はフィクションです 登場人物は実在するいかなる人物とも関係ありません
posted by ラテンでアロハな社長 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アロハな文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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