2007年02月06日

『黒いボルサリーノ』 第三話

「出来上がりました。さあ、靴を履いて、出かけましょう」

背中を拳銃で押されながら俺は外に出た。太陽の光がまぶしい。一体いまは何時頃なんだろう。
男に案内されるまま歩いた俺は、やがて、公園にたどりついた。

醜悪な光景。
修学旅行の集合写真で使うようなひな壇に、白いアフロヘアーのようにシャンプーを泡立てられた男女が並んでいる。
良く見ると、時々すれ違う顔も混じっているが、いつもと違うのは皆顔がこわばっている点だ。
どうも皆朝早くにたたき起こされて、連行されてきたらしい。ということはおれの頭の上にもあのアフロがのっているのか。
パッチリ目覚めて、ニコニコしているのは、いつもここでゲートボールをしている老人会のメンバーだけだ。
いや、もうひとり。最前列で顔を上気させているのは吉川さんだ。いつもは禿頭だったはずだ。

そこかしこにいる黒ボルサリーノの間をぬって、下から2段目に乗るように指示された。
「前の人の頭の間から顔を出してくださいね」
ふと気付くと、目の前に大仰なロケ隊。そして、下を見ると薄いピンク色をしたバスタブがひとつ。
大量の泡のなかに、体をうずめてきれいな足を伸ばしている女がいる。
その女の髪、いやアフロだけはピンク色だ。一体これはなんなんだ。

「はいっ 始めます。 皆さんもっと笑顔で」
ディレクターらしき男が声を張り上げた瞬間、ピンクのアフロが振り向いて俺にウインクした。
そう、チハルだった。


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※この物語はフィクションです 登場人物は実在するいかなる人物とも関係ありません
posted by ラテンでアロハな社長 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アロハな文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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